買収 · 医薬品
住友ファーマ、米マイオバントを17億ドルで完全子会社化
- 買い手
- 住友ファーマ(Sumitovant Biopharma経由)(大阪)
- 対象
- マイオバント・サイエンシズ(残り48%)(米カリフォルニア州ブリスベン)
- 金額
- 未保有の48%分で17億ドル(1株27ドル、会社全体の評価額29億ドル)
- 状況
- 2023年3月10日に完了。マイオバントはニューヨーク証券取引所の上場を廃止し、2023年7月に住友ファーマアメリカに統合された。
- 日付
- 2022-10-23
住友ファーマの米子会社Sumitovantは、まだ保有していなかったマイオバント・サイエンシズの約48%を1株27ドルの現金、総額約17億ドルで取得することで合意した。会社全体の評価額は約29億ドルで、最初の提案前の株価を約50%上回る。マイオバントの独立取締役は3週間前、22.75ドルの提案を拒否していた。マイオバントは、成分レルゴリクスを使った2つの薬、進行性前立腺がん治療薬「オルゴビクス」と子宮筋腫・子宮内膜症の痛みの治療薬「マイフェンブリー」を販売している。
ポイント
住友ファーマは2023年初めに、主力の統合失調症治療薬「ラツーダ」の米国での特許切れを控えていた。マイオバントを完全子会社にすることで、伸びている2つの米国の薬の利益をすべて取り込み、その穴を埋めることを狙った。
取引の内容
2022年10月23日、Sumitovant Biopharmaと親会社の住友ファーマは、まだ保有していないマイオバントの全株式を1株27ドルの現金で取得することで合意した。Sumitovantは既に約52%を保有していた。残りの株式の取得額は約17億ドル、マイオバント全体の評価額は約29億ドル。手元資金と新たな借入金で賄う。価格は、最初の提案前の最終取引日である2022年9月30日の終値を約50%上回る。
最初の提案は拒否
Sumitovantは2022年10月1日、1株22.75ドルを最初に提案した。マイオバントの独立取締役による特別委員会は、会社を大きく過小評価しているとしてこれを拒否した。3週間後、両社は27ドルで合意し、Sumitovantはこれを最善かつ最終の提案とした。取引には、Sumitovant以外の株主の過半数の賛成も条件とされた。支配株主が少数株主から株式を買い取る際によく使われる保護策だ。
マイオバントについて
マイオバントはニューヨーク証券取引所に上場し、登記上の本社はスイスのバーゼル、米国の事業拠点はカリフォルニア州ブリスベンにあった。承認済みの2つの薬はいずれも、ホルモン量を下げる飲み薬レルゴリクスを使う。「オルゴビクス」は2020年に進行性前立腺がんで米国の承認を得た。「マイフェンブリー」は2021年に子宮筋腫による過多月経、2022年に子宮内膜症の痛みで承認され、ファイザーと共同で販売していた。住友ファーマは2019年、米ロイバント・サイエンシズ傘下の複数社の株式を約30億ドルで取得してSumitovantを設立し、その際にマイオバント株を得た。その後、マイオバントに約6億ドルを投じていた。
住友ファーマの狙い
米子会社サノビオンが販売する統合失調症治療薬「ラツーダ」はグループ利益の大きな部分を占めていたが、2023年2月に米国での特許保護を失う予定だった。住友ファーマは、マイオバントを完全子会社にすることで、オルゴビクスとマイフェンブリーの生む現金をすべてグループの成長に使えるとした。複数の米国子会社に外部株主がいる複雑な構造を整理する狙いもあった。
その後
取引は2023年3月10日に完了し、マイオバントは上場を廃止した。住友ファーマは2023年7月、マイオバント、ユーロバント、サノビオン、Sumitovantなどの米国子会社を1社に統合し、住友ファーマアメリカとした。その後、ラツーダの売上減少で大きな赤字を計上し、オルゴビクスとマイフェンブリーの成長が再建計画の柱となった。
出典
Kakehashi M&A News トップ