買収 · 医薬品
大塚製薬、PTSD治療薬開発の米トランセンドを最大12億ドルで買収へ
- 買い手
- 大塚製薬(米子会社大塚アメリカ経由)(東京)
- 対象
- トランセンド・セラピューティクス(米ニューヨーク州ニューヨーク)
- 金額
- 一時金7億ドル、マイルストーンを含め最大12億2,500万ドル
- 状況
- 2026年6月12日に買収完了。
- 日付
- 2026-03-27
大塚製薬は米子会社の大塚アメリカを通じ、ニューヨークのトランセンド・セラピューティクスを買収することで合意した。完了時に7億ドルを支払い、売上高に応じて最大5億2,500万ドルを追加で支払う。同社は心的外傷後ストレス障害(PTSD)向けの即効性神経可塑性薬「TSND-201」(メチロン)を開発している。買収は2026年6月12日に完了した。
ポイント
主力の精神科領域の既存薬が特許切れを迎えるなか、中枢神経領域のパイプラインを補強する。幻覚剤に近い作用を持つ新しいタイプの精神疾患治療薬への賭けでもある。
取引の内容
大塚製薬は2026年3月27日に合意を発表し、通常の承認手続きを経て4〜6月期に完了する見通しを示していた。6月12日の完了時に大塚アメリカがトランセンドの株主に7億ドルを支払い、トランセンドは大塚アメリカの完全子会社となった。残る最大5億2,500万ドルは、開発品の将来の売上高に応じて支払う。
トランセンドとTSND-201について
TSND-201の有効成分メチロンはMDMAに近い化合物である。セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの放出を促す一方、幻覚に関わる5-HT2A受容体には作用しない点で従来の幻覚剤と異なる。
成人PTSD患者を対象とした第2相試験「IMPACT-1」では主要評価項目を達成した。64日目の臨床評価尺度CAPS-5の重症度スコアはプラセボに比べ9.64ポイント改善し、奏効率はプラセボの19.2%に対し57.1%だった。結果は2026年2月に米医学誌JAMAサイキアトリーに掲載された。米食品医薬品局(FDA)は2025年7月10日に画期的治療薬(ブレークスルーセラピー)に指定し、同社はFDAとの協議を経て第3相試験の患者登録を始めている。
買収の狙い
大塚製薬は、統合失調症、双極性障害、うつ病、PTSDなど精神・神経領域での長年の経験を生かせる案件だとしている。神経可塑性薬の分野での買収は、カナダのマインドセット・ファーマに続き2件目となる。
今後の注目点
買収の成否は第3相試験の結果にかかっており、売上高連動の追加支払いも承認と発売が前提となる。業界紙の日刊薬業によると、大塚製薬は2026年4月時点で2030年ごろの米国発売を目指し、ピーク時に1,000億円以上の売上高を期待している。
出典
Kakehashi M&A News トップ