買収 · 鉄鋼
日本製鉄、USスチールを142億ドルで完全子会社化 米政府に黄金株、28年までに110億ドル投資
- 買い手
- 日本製鉄(北米日本製鉄経由)(東京)
- 対象
- USスチール(米ペンシルベニア州ピッツバーグ)
- 金額
- 142億ドル(2兆円超)
- 状況
- 2025年6月18日に完了。
- 日付
- 2025-06-18
日本製鉄はUSスチールの普通株式を約142億ドルで全て取得し、米政府と国家安全保障協定を結んだ。2028年までに、新工場の建設を含め約110億ドルをUSスチールに新たに投資すると約束した。USスチールは米政府に黄金株を発行し、政府は独立取締役1人を選べるほか、約束した投資の削減、本社の移転、海外への生産移管などに同意権を持つ。
ポイント
日本企業による対米買収として過去最大級で、日本製鉄は関税に守られ成長が続く米市場に足場を築く。黄金株は新しい形の政府関与で、今後の日本企業の大型対米投資にも求められる可能性がある。
買収資金
日本製鉄は買収資金を、1年以内の返済が必要な約2兆円のつなぎ融資(ブリッジローン)で賄った。その後、段階的に長期資金へ置き換えた。格付投資情報センター(JCR)によると、借入限度額5,000億円のコミット型劣後ローンが2025年9月18日に実行され、ブリッジローンの返済に充てられた。
2026年3月18日には、国際協力銀行(JBIC)と三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行の協調融資で約9,000億円を借り入れた。劣後ローンや2029年・31年満期の転換社債型新株予約権付社債と合わせ、ブリッジローン全額の返済資金を確保し、恒久的な資金調達を終えたと同社は説明した。
黄金株の行使
政府の拒否権は3カ月以内に試された。USスチールは2025年9月、イリノイ州のグラニットシティ製鉄所でスラブ加工を止める計画を立てた。約800人の雇用に影響する内容だった。ラトニック商務長官が認めないと伝え、USスチールは9月19日に計画を撤回し、加工を続ける方法が見つかったと説明した。ホワイトハウスは9月22日、国家安全保障協定に基づき介入したと明らかにした。
協定の全文は公表されていない。トランプ氏は米国が過半の支配権を持つと説明する一方、日本製鉄は黄金株に政府の出資は伴わず、拒否権を与えるだけだとしている。
投資の進捗
USスチールのCEOは2025年11月、アーカンソー州オセオラのビッグリバー製鉄所での30億ドルの投資を日本製鉄の傘下入りと結びつけて説明した。2026年4月には、同製鉄所に19億ドルを投じて直接還元鉄(DRI)プラントを建設すると発表し、110億ドルの投資計画の一部と位置づけた。正社員約200人を雇用し、建設時は最大2,000人が従事する見込み。6月には米ミドレックスが年産250万トンの設備を供給することが決まった。
日本製鉄は2026年度からの中期経営計画で、USスチールの設備更新などを含め5年間で総額約6兆円を投じる方針を示した。
出典
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